< 技術力って、何だろう? >
日本は長年、モノづくりの国、技術力で生きる技術立国だと言われてきました。
しかし改めて「技術力」とは何なのでしょうか?
以前、ある会社の方と、こんな「なぜなぜ分析」をやってみたことがあります。
Q.御社は何の会社でしょうか?
A.モノづくりの会社です!
Q.モノづくりの会社であるという御社の強みは、いったい何ですか?
A.技術力です!
Q.では技術力の実体とは何でしょうか?
A.そうですね・・・
特許は出していないからノウハウかな、最近買った最新鋭の加工機かな・・・
否、やっぱり技術力は人間力です。
現場の人材こそが当社の大切な経営資源だと思います!
Q.では、その技術力を担う人材を育てるため、会社は今、何をしてらっしゃいますか?
A.(沈黙)
・・・そういえば最近、コストダウンでリストラしたばかりだったっけ
なかなか出せなくなった利益を回復するためコストダウンやリストラを進めた結果、
技術力を担っていた人材が海外に流れていきました。
そして手強いライバルを世界中に作り出してしまったのです。
これは日本のモノづくりがコストと資源をきちんと見分けてこなかったことによる悲劇です。
コストはコストダウンに努めるべきもの、
資源はしっかり使って生産性向上を図るべきもの、
その過程では会社の明日の事業を担う新たな資源(ヒト・モノ・カネ)を育てていく・・・
コスト(変動費)と資源(固定費)では管理目標が全く違います。
それをしっかり見分けて正しく管理しなければ、技術立国など絵空事でしょう。
インターネットの普及と併せ、
技術知識はあまねく世界に行き渡り、コモディティ化してしまいました。
そんな時代に勝ち抜くためには、常にヒトを育て、
常に新しい価値に挑戦し続ける「進化する集団」を目指す他に途はありません。
それが新しい「技術力」の形です。
日本のモノづくりに「今のまま」という選択肢はないのです。