ボクシング連盟で起きていた問題は記憶に新しいと思います。その他にも日大アメフトで起きた事件や最近ワイドショーを賑わせている体操協会で起きていることなどに共通するのはガバナンスがほぼ機能していなかったという点です。
試合中に信じられないようなプレーとして問題が表出したのは正直論外ですが、ボクシングや体操のように組織外への通報で判明するのは組織としては恥ずかしい限り、かなりやばみ。
たまには真面目にガバナンスという視点から問題点を説明したいと思います。
そもそもガバナンスという言葉は、大きな企業不祥事が起きた事を受けて1990年代以降叫ばれるようになり、株式会社ではかなり意識されるようになりました。
2015年に出された「コーポレート・ガバナンス・コード」によると、その定義は
会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み。
となってます。難しいです。
少し噛み砕くと、自己中心的にならず外部の要請も聞きながら、真っ当な判断をするための仕組みとでもなりましょうか。
でもまだ難しいですね。
一言で言えば、特定の人間の身勝手な行動を許さない仕組みです。
そのために上場会社では経営の意思決定をする取締役会のメンバーに外部の人を加えたり、取締役が悪い事をしてないかチェックするための監査役などの立場の人を置くようになっています。
さて、今回問題を起こした組織はどうだったのでしょうか?(体操協会については現時点での報道内容に基づいて記載してます。その後新事実が出てきた場合は悪しからず)
ボクシング連盟や体操協会は、もちろん株式会社ではありません。利益を重視した活動をする組織ではないからです。
ボクシング連盟は、一般社団法人日本ボクシング連盟というのが正式名称です。一方の体操協会は、公益財団法人日本体操協会です。
一般社団法人や公益財団法人とは何かというのは、ここでは気にしないで下さい。どちらも株式会社ではない事だけは分かります。では株式会社ではないので、株式会社にいるような監査役(役員の活動をチェックする人)はいないのでしょうか?
実はどちらも監査役がちゃんといます。
ボクシング連盟のHPを見ると理事や組織について説明するはずのページが見れません(Not Foundとなります。ひどい。)が、定款を調べるとちゃんと監事(名称は違いますが、監査役と役割は同じです)を2名以上置くとなっています。
体操協会HPには役員名簿があり、そこにも監事の方が2名記載されていました。また組織図を見るとコンプライアンス委員会も組織されています。
私もある会社の監査役を務めているので厳しめに書かせて頂きますが、何故一部の人間の権力保持や名誉等が目的と思われる行動を事前に防げなかったのか。監事をされている方の責任はかなり重いと言わざるを得ません。利己に走った人が一番悪いのは当然ですが。。
このように防ぐための仕組みはあったはずなのに、起こってしまった。しかも内部での自浄作用が働かず、告発をするために会見などの形で外に発信せざるを得ない状況にさせたというのは、恥ずかしい限り、やばみです。
何故仕組みが機能しなかったのか、色んな背景があるのでしょうが、「形骸化」に尽きます。
この形骸化は通常の会社でも多く見られます。
ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、J-SOX、人事制度、予算制度、xx会議etc,.
社内には色んな仕組みがあると思いますが、目的をしっかりと果たしている仕組みがどれだけあるでしょうか?
形骸化した仕組みを放置しておくと、社内は白けます。表面上やった感を出せばいいでしょという雰囲気が蔓延してしまいます。そんな空気で組織活性化が実現できますか?生産性はあがると思いますか?
無用の長物となった仕組みを変えていくためのヒントを各メンバーがそれぞれの視点から今後少しずつご紹介していきます。
夢想家 山口