(まず初めに、台風21号及び北海道を震源地とする地震で被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。)
前回のブログで、山口さんから「社内にある無用の長物となった仕組みを変えていくためのヒントを各メンバーがそれぞれの視点から今後少しずつご紹介していきます。」というパスが飛んできましたので、そのパスを受取り、私も自分なりの視点で、企業再生、企業活性化のアイデアを提案していきたいと思います。
王子経営研究会のブログ立ち上げ以降、私が今まで一貫して訴えてきたことは、「組織内部のコミュニケーション」の重要性です。
組織にとってのコミュニケーションは、人体を流れる血液とよく似ています。血液の流れが悪くなると、体の一部が壊死するばかりか、最悪死に至る可能性もあります。それと同じように、組織内部のコミュニケーションが不足すると、組織の一部のみならず、全体に悪影響が生じます。そして昨今の企業不祥事等が生じた原因の一つに、コミュニケーションの「質」と「量」に問題があったことが挙げられると私は考えます。
「質」の良いコミュニケーションとは、一方通行ではなく、相手の話もよく聞き、話している相手の熱意や想いまで共有できている状態のことです。
また、望ましい「量」のコミュニケーションとは、1回伝えたら後はおしまいではなく、お互いのことを理解するまで、回を重ねてしっかりと話し合えている状態のことです。
このような質と量の伴ったコミュニケーション(=組織の血液)が組織内部をくまなく循環するとき、経営トップの情熱や企業ミッションが現場の隅々まで浸透し、かつ、現場の入手した情報や知識が会社全体に共有され、組織が活性化することになります。
<昨今の企業不祥事について>
2018年もたくさんの企業不祥事が、ニュースで報じられました。
最近ですと、宅配最大手のヤマトホールディングスが、子会社が法人引っ越しサービスにおいて顧客企業の約8割に料金を過大請求していたと発表したことが新聞各紙をにぎわせました。
私もほぼ毎日お世話になっており、ヤマトさんの大ファンであったため、とてもびっくりしたのですが、報道の一例をあげますと、9月4日(火)の日本経済新聞に、以下の見出しの記事が掲載されていました。
・ヤマト、過大請求に悪意
・引越し「お荷物」視で綻び
・経営陣の放任が現場の不正生む
「記事の説明」
ヤマトホールディングス(以下、YHD)が法人引っ越し代金の過大請求で一部に組織性や悪意があったことを認め、個人も含めたすべての引っ越し業務の新規受注を停止した。そして第三者委員会の調査報告書などからは、収益性の低い引っ越しを経営陣が軽んじ、現場任せにしてきたことが浮き彫りになった。
記事によれば、YHDは、引っ越し業務の収益性の低さゆえ、引っ越し子会社のヤマトホームコンビニエンス及びそこで働く従業員を重要視していなかったとのことです。
私もYHDが発表した第三者委員会の報告書を読み込みましたが、そこから読み取れたのは、グループ全体を統括すべきYHDと、法人引っ越し部門の現場との間の「遠い距離感」でした。ブログの字数の都合上詳細な記述は省略いたしますが、引っ越し商品に対する現場教育に不備があったり、商品に関する現場の意見が反映されなかったり、内部通報制度が機能不備を起こしていたりと、いろいろあったようです。
これらの問題が、経営トップと現場従業員との間に遠い距離感を生み、この遠い距離感が、従業員のモチベーション低下(=しらけ)を生み、結果として従業員不正が横行してしまったのではないでしょうか。もしYHDが質の高いコミュニケーションによって、現場の悩みを共有することができ、かつ望ましい量のコミュニケーションによって、組織を活性化することができていたならば、このような不祥事は起こらなかったのではないかと私は思います。
結びになりますが、コミュニケーションは組織の血液です。社内のコミュニケーションを円滑に行うことにより、従業員は会社の目標を理解納得し、自分の職務レベルにまで落とし込んで実行することができるようになります。このような、「従業員の腹に落ちた感」が組織に対する求心力の源泉となるのです。そしてこの「組織に対する求心力」こそが、山口さんが問題視した組織内部のしらけを改善するための重要な鍵となるのではないでしょうか。
なお、余談ですが、組織内コミュニケーションの円滑化を推進していくために、私は「一般社団法人日本CCO協会」を立ち上げ、代表理事として日々活動しております。社内にコミュニケーションの専門家(=CCO、Chief Communication Officerの略です)を配置し、組織内部の活性化、さらには業績改善を行いたい方がいらっしゃいましたら、どうぞご連絡くださいませ。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!