昨今話題の日産自動車㈱代表取締役会長だったゴーン氏の件につき、様々な視点から多くの分析が行われています。
ただの妄想家がそれぞれの専門家の方による意見に対して物申すような事は出来ませんが、1つあまり注目されてない視点があるので書いてみようと思いました。
論点は、監査役の責任です。
監査役とは、取締役と同様に会社の役員です。
主な役割を簡単に説明すると、取締役が誠実に業務を行っているか、法を犯すような事をしていないか、という事を監視する役割です。
なので会社の利益よりも私腹を肥やしている場合や、法律で定められた事を故意にやらないという行為があった場合は、警告する必要があります。
今回のケースは現時点での情報が正しいとすると、ゴーン氏の行動はどちらにも当てはまりそうです。
開示すべき役員報酬を開示していなかったとされる2010年当時の日産の監査役を調べると4名の監査役がいました。
常勤として常に監視しているのが3名。人事系を歩まれていた日産自動車出身者1名と銀行出身者2名。
非常勤として他社の代表を経営された方が1名。
という布陣です。
子会社を経由した会社資金の不正利用は、なかなか分かりづらいと思いますが、役員報酬の記載逃れについては正直なところ監査役なら気付けるだろ!と思います。
なぜなら監査役は取締役会への出席が求められており、役員の報酬は一般的に取締役会で金額や算定ロジックなどが決められるからです。
現在問題視されている株価連動タイプの報酬も当然そこで議論されていたはずです。
なので有価証券報告書に記載されている株価連動型インセンティブ受領権の金額がゴーン氏だけゼロ円というのは可笑しいと気づくべきでした。
個人を攻撃する気は毛頭ありません。ただ監査役という仕組みが完全に形骸化している事を示すケースとして取り上げるべき分析対象とするべきだと思います。
そこに関しては司法取引をしてでも、過去の監査役になぜ発見や警告が出来なかったのか、もしくはどうしたらそれが出来たのかという事をしっかり調査して貰いたいと思います。
と、偉そうに書きましたが、自分自身が現在進行形で監査役としての役割に悩み中です。
そんな中ですが今日はある方から素晴らしい言葉を頂きました。
「監査役は経営者の伴走者だよね」
監査役が伴走者であれたなら、今回の問題は起きなかったと思います。
この記事を書いている私は残念ながら、まだまだ伴走できるほどの知力・体力はありません。取りあえず離されないよう食らいつくしかありません。
夢想家 山口