このブログの読者の多くは30代後半以上で、健康診断を受けに行けば一つや二つの「C」の文字が現れるお年頃ではないか。
勝手にそう推測して記事を書いています。
かくいう私もこの6月に健康診断を受け、ちゃんと「体重過多」という診断がでました。
ところで。。。
「健康診断を予約した」
そう知人に伝えたとき、不思議なことを言われました。
「じゃあ、当日まで禁酒だね」
なんで?と訊くと、「少しでも良い数値とりたいでしょ?」と。
全くそういう発想をしませんでしたが、言われてみれば、そういうものかもしれません。
少しでも健康体に近い数値を出すことで自分自身も安心したい。そして、場合によっては保険料などにも影響があるわけだ。そうなれば、健康診断を予約して日程が確定したら、その日に向けて必死に節制をし、運動をし…そういうことをやったほうが良いんじゃないか、と思うほうが、普通なのかもしれない。
といいつつ、私は結局今まで通りの生活をして、ありのままの健康状態の判定を受けました。
「そのほうが良いと思ったから」というわけではなく、むしろ「禁酒する精神力が全く備わっていなかった」だけなのですが。
そういえば、自分は定期テストが近くても大して勉強もしませんでした。その代わり、勉強が嫌いなたちではなかったので、日ごろからちょっとずつ勉強をしているほうでした。
中学3年生の初めての三者面談で、
「今度の実力テスト、必死に準備しろよ?今までで一番の成績を取るように頑張れ」
そう担任に言われて、
「・・・なんで?」
と本気で答えたことがありました。
日ごろの勉強の成果をみるための実力テストで、なんで実力のかさあげをしなきゃいけないんですか。
「今までで一番」じゃなくて「今まで通り」の成績を出すべきでしょ、と。
それが「・・・なんで?」の真意でしたが、担任には、そして母にも宇宙人を見るような顔をされました。
さて、いい加減会計の話をしましょうか。
3月になると営業マンは「数字を作る」作業に躍起になります。自治体の公共事業も似たようなものです。2月中に納品してもらい、年度内に支払いを終えて予算を消化した格好を作りたいというモチベーションがどうしてもかかります。
人間のモチベーションには「快楽の追求」と「危険の回避」の2つのベクトルがあるわけですが、ゴールや締め切りが近くなり、次第に「危険の回避」が差し迫ってくると、人はやる気になるようです。結果として、3月の売り上げはちょっと良くなり、在庫や焦げ付き債権は少し減り…全体的に決算書の数字は「実力」よりも少しだけ背伸びした状態で出来上がります。
それって、本当に、本当に「正しい数字」なの?と言われると、微妙な気がしますよね。
もっとも、3月になると頑張るという人間臭さも含めての「正確性」なのだ、と言われればそれまでです。
それまでですが、例えばこれを「毎月ディスクロージャーしてください」というルールにしたら、企業はしだいに生活習慣そのものを改めなければならなくなり、そうできない企業は「生活習慣病」のレッテルを貼られることになります。
そして、だんだんそういう世の中になっています。某会計システムの会社が「月次監査機能」をリリースしましたからね。
要するに、私たちの人間臭さは、ルールあってこそのもので、ルールを変えればそれなりに変革できる。それが人間というもの、少なくとも日本人というものなのです。
先ほどの定期テストの例も同じです。
単元ごとにこまめに実力テストを課していれば、一夜漬けではなく毎日の勉強をしっかりする子が「まじめな子」になるのに、今の教育はそうなっていない。
だから、慌てて勉強するんです。
「ゴール間際になってからあわてて頑張る」という風潮は、実は教育の賜物なのかもしれません。
教育の仕組みは社会の仕組みが変わってから「ずいぶん遅れて」変わっていきます。
AIによる常時監査などが当たり前になったら、勝てるのは「日ごろの習慣のレベルの高い人」になります。
今慌ててお子さんの夏休みの宿題を手伝っているご家庭も多いでしょう。
ぜひ2学期からは「毎日」を丁寧に過ごさせてあげてください。