別れの時期でもある3月もあと少しで終わり、新しい出会いや環境にドキドキする4月がもうすぐとなりました。
だいぶ空いてしまいましたが、シリーズ3回目となります。前回は社内での対話に付加価値を使用する事を紹介しました。今回はそれを実際に導入する恐らく最も簡単な方法を紹介します。
株主など資金提供者へ分配される「利益」よりも、従業員を含めた全員の分配原資である付加価値の方が有用である事の理屈は前回の通りですが、いざ損益計算書を変形させようとすると今までの経営資料を大掛かりに変更することになります。
社外への説明として利益の重要性は変わるものではないので、それは現実的ではないと感じられる方も多いのではないでしょうか。
そこでお勧めするのは、キャッシュフロー計算書(又は資金繰表)をカスタマイズする方法です。
メリットは2点あります。
・大多数の中小企業にとって損益よりも大事な資金繰りを最重要経営指標に出来る
・今までの経営管理資料はそのまま使える
2つ目は言わずもがななので特段説明しません。
1つ目のメリットについて若干解説します。黒字倒産という言葉をご存知でしょうか?これは損益計算書上は利益が出ているのに資金繰りが悪化して、経営が成り立たなくなる現象です。倒産までに至らないまでも、順調に成長しているのに資金的に余裕がないというケースは多々あります。
製造業の場合、製品を納品してから入金までの時間(入金サイト)が1か月で、材料・部品の購入代金の支払いも1か月だとします。一見すると同じ期間なので資金繰り上も問題ないと思えますが、材料などの購入から出荷までの期間に1か月掛かってしまうと支払が先行する事になってしまいます。その間の人件費も支払いが先行するので、意外と資金は苦しいという事が起きます。
そのため損益計算書ばかり見ていると、資金繰りが苦しい事にタイムリーに気づけなかったり、投資をしようと思ったときに思いの外資金がなく、すぐに実行できないなど損益と資金のギャップを感じる事があります。
キャッシュフロー経営という言葉が一時期流行りましたが、広く浸透することはありませんでした。最近では東芝さんが事件後にキャッシュフローを重視する経営に転換するという事で少し話題になった程度です。
本来はとても魅力的な考え方なのですが、広まらなかった理由としては色々あると思いますが、もっとも大きな問題はキャッシュフロー計算書のフォーマットにあります。
一般的にキャッシュフロー計算書は間接法で作成されますが、これが利益をベースにしたもののため、このフォーマットで作られた表を見ても資金がどう動いたのか分かりません。会計に明るい人であれば、損益計算書と貸借対照表を見ながら読み解く事は出来ますがかなり難解です。
そこで直接法のキャッシュフロー計算書を少し改良して、付加価値の獲得過程とその分配が一目で分かるようなフォーマットを用意する必要があります。
続きを書くと長くなるので、この付加価値を重視したキャッシュフロー計算書のフォーマットについては次回詳細に説明します。
完全に余談ですが、この時期ついつい聞いてしまう歌があります。
作詞 森山直太朗・御徒町凪 「四月になれば」
<四月になれば 四月になれば 四月になれば 四月になるさ (抜粋)>
何か癒されます。
それでは、平成最後の4月に皆様にいい出会いがありますように。
夢想家 山口